盲目の旅人

旅人がいた。
彼は目が見えていなかった。
気になったので、尋ねてみた。
『なんであなたは目が見えないのですか?』
すると彼はこう言った。
「希望の眩しい光を、見過ぎたんだよ」
「でも私の目は見えているんだ」
『どういう事ですか?』
「心の目だよ」
『そんなものあるんですか?』
「あるよ」
「此処に綺麗な街がある」
違う、あるのは廃れた街。
そう言いたかったが、
彼は他のどんな旅人よりも活き活きとしていた。
どうやら希望の光を見たのは、本当らしい。