2005-10-24 盲目の旅人 旅人がいた。 彼は目が見えていなかった。 気になったので、尋ねてみた。 『なんであなたは目が見えないのですか?』 すると彼はこう言った。 「希望の眩しい光を、見過ぎたんだよ」 「でも私の目は見えているんだ」 『どういう事ですか?』 「心の目だよ」 『そんなものあるんですか?』 「あるよ」 「此処に綺麗な街がある」 違う、あるのは廃れた街。 そう言いたかったが、 彼は他のどんな旅人よりも活き活きとしていた。 どうやら希望の光を見たのは、本当らしい。