スケープ・ゴート
其処に放り出された訳ではない
此処まで歩いて来たのでもない
しかし確かに此処にいる僕がいる
雨は澄み僕は淀んで
草臥れた麦わら帽子
其の匂いだけ只溜め込んだ
月が浮き僕は沈んで
「有り触れたモノは要らない」
其の言葉だけ只覚えてた
歩いても歩いても先へ進めず
叫んでも叫んでも声は届かず
其れでも頑なに諦めない
君がいた 僕もまた然り
波が引き僕は望んで
消え失せた光を拾い
其の世界だけ只輝いた
凝らしても両の目は何も捉えず
閉じてても膨大な夢だけ見せた
けれども大人へと進んでいた
君でさえ其れを信じてた
其処に放り出された訳ではない
此処まで歩いて来たのでもない
しかし確かに此処にいる僕がいる
其処に飛び出て行く必要はない
此処から歩いて行くのでもない
そうさ確かに其処にいた僕がいた
そして新たに此処にいる僕がいる