天秤

天秤に掛けられたのは、二つの命。
僕の命と貴方の命。
見事に釣り合っているんだ。
これじゃあ決めらんないよ。
貴方は大切だけど、
僕という媒体がなきゃ、貴方を愛すことは出来ない。
さあ、迷った。
いっそのこと君の方に傾けよ。
そうすれば非常に楽だ。
そんな時、天秤が傾いた。
貴方は僕より下にいる。
僕は僕を選ぶ。
貴方は天に昇ってく。
そして僕は下がっていく。
と言うより、堕ちていく。
今更気付いた。
天秤は、重い方が下がるんだ。
貴方が下に見えたのは、
僕が貴方に対して、許されない事を思ったから。
僕のいい部分が抜けて、
軽くなったんだ。
もう遅い。
貴方は天に昇り、
僕は地に堕ちる。
貴方は天使、
僕は堕天使。
断末魔の叫びは、転生への産声となった。