未来

放射状に広がる道。
それを人は未来と呼ぶ。
望んでない道を選んでしまった時、
それを人は運命のせいにする。


「どうせ運命が決まっていたんだ。
今日も明日も明後日も、
誰かが俺に起こる事を決めているんだ」


ここにも一人いる。
希望という燃料を燃やしながら、
愚痴という排気ガスを吐き続けて、
もう燃料切れの人。
燃えた希望は塵になり、
吐いた愚痴は、煙となり、彼の視界を濁らせた。
今にも絶望という底無しの海に、身を投げてしまいそうだ。


彼を止めるには、どうしたらいいだろう。
私は人に話しかける事が出来ない。
そうだ。これなら・・・。


彼が飛び落ちてしまいそうなその時、
私は真っ白な鳥の群れを飛ばした。
暗い海の底から。
鳥たちは、彼の視界を濁らせていた煙を吹き飛ばした。
彼の視界が開けた。
眩しいほどの光が彼に浴びせられる。
新しい燃料、希望の光だ。


放射状に広がる道。
それを人は未来と呼ぶ。
こうして、彼はまた進み出した。
新しい希望とともに。
必ずしも未来は私が決めているのではないんだ。
進め人々よ!
          ―20XX年,Y月Z日 神様の日記帳より―