僕は小人

僕は今、目の前の壁を必死で登っているんだ。
それは絶対越えなくちゃいけなくて、必死によじ登ってるんだ。
そうしてると、僕の横を、大きな人が通っていった。
僕が必死で登っている壁をいとも容易く。
上を見ると、まるで階段のように、すいすいと越えていく。
とても要領のいい人だったのか、彼には簡単な壁だったのか。
それは僕には分からない、僕は僕なりに頑張らなくちゃと思い、再び登り出す。
そして僕はまた一つ壁を越えた。
すると、下の方に、必死で登ってる人が見えた。
僕よりも全然ちっちゃい。
頑張れ。僕はそう心に思い、また歩き出した。
するとまた新たな壁、今度はさっきより格段に高い。
近くに泣いている人。よく見ると、さっき僕の横を通ってった人だ。
今は僕よりも小さい。縮んだのか?
いや、違う、苦労して壁を登った僕が、成長したんだ。
優越感に気をよくした僕。また新しい壁を登る。
そう言えばさっき必死で壁を登ってた人は、もう壁を登れたかな?
さっきよりも成長したかな?
そんなことを思っていると、地面が規則的に揺れる音。
地震?いや、違う。これは足音だ。
そう思って振り返った。


・・・成長しすぎだろ!!!